2010-01-01から1年間の記事一覧

なくしたもの、見つけたもの ー最終回ー

自宅近くの道を歩いていたら、ふと目の前にかわいらしい落とし物発見。 こういうのを見つけるたびに、ついつい立ち止まり、写真を撮ってしまう…そんなことからも、そろそろ離れなくてはなりません。 昨日、映画『Lost & Found』は公開最終日を迎えました。 …

フラワー長井線との出会い

出会いは、時によっては、人生をも左右する大きなものになりうる可能性がありますが……。 この映画にとって、山形県を走るフラワー長井線との出会いも、なくてはならないものでした。 新幹線の停車駅、赤湯(あかゆ)駅〜終点、荒砥(あらと)駅までをつなぐ…

フランス語の辞書

ここで、ひとつの懺悔を。 大学生の頃の話です。 ある日、私は、大学構内で、フランス語の辞書をなくしてしまいました。 すぐに、学生課の落とし物あずかり所へ問い合わせに行きました。 「フランス語の辞書を…」と言うと、係のひとは、すぐに「これかな?」…

ピエロ落札

映画の冒頭、最初に登場する誰かの落とし物は、ピエロのキーホルダーだった。 しかし、撮影用小道具として探そうとすると、これがなかなか見つからない。 小道具に対して、きちんとしたスタッフがいればよかったのだが、低予算映画なので、制作の方が小道具…

日々、Lost & Found ・その2

「日々、Lost & Found」というタイトルで、カメラをなくしてしまった話を書いたことがありましたが… 今日は、自分のことではありません。 (私も、そんなにしょっちゅうlostしているわけではありませんので…笑)昨日、新宿で長い下りエスカレーターに乗った…

「失う」と「無くす」

映画『Lost & Found』のチラシにあるコピーは、 「失くしたもの、そして見つけたもの」 となっている。 でも、本来の日本語としての正解は、 「無くしたもの、そして見つけたもの」 である。 「失」と「無」。「無くす」という字を見たとき、ものすごい違和…

観られなかった映画

大学の卒業論文で、イラン映画をテーマに選んだ。 ちょうどその頃、イラン映画は、マジッド・マジディ監督の「運動靴と赤い金魚」をはじめとした子供を主人公にした作品で、徐々にその存在感を増し、有名なキアロスタミ監督の次の世代の監督たちが次々に台頭…

続・座布団おじいさんのお話

「座布団おじいさんのお話」というタイトルで、以前文章を綴りましたが、今日はその続編のようなお話です。 映画『Lost & Found』の中にある、おじいさんが冬の寒いベンチに座布団をひいていくエピソードは、東武東上線のつるせ駅がモデルになっていることは…

日々、Lost & Found

先日、とある洋食屋さんに入って、オムライスを頼んだ。 そのオムライスにかかっていたデミグラスソースが本当においしく、どうやったらこんな深い味わいが出せるのかとか、軽くソテーした野菜やきのこがソースにのっているのを見て、なるほど、ソースと一緒…

落とし物あずかり所、初めての訪問

「初めての落とし物」というタイトルでこのブログをスタートさせたが、今日は、初めて駅の落とし物あずかり所を訪問したときの話を。 電車とのつきあいは、高校に通学するときから始まったが、高校時代に駅の落とし物あずかり所へ行ったことはなかった。 駅…

「あたしが落とし物!」

道に迷ったとき。 英語では「I'm lost.」という。 学生時代、この表現を習ったとき、何かとても不思議な感じがした。 「私は、なくされました」ってこと?…で、誰に?でも、子供のときの迷子体験を思い出せば、かなりしっくりくる。 それは、親にlostされた…

座布団おじいさんのお話

ずっと、落とし物にまつわる文章を連ねてきましたが、今日は、少し趣向を変えて。 (落とし物のネタ切れではありません…笑) 映画『Lost & Found』の中に、<座布団おじいさん>というのが出てくる。 駅のホームのベンチに手作り風の座布団を敷いていく、駅…

落とし物ナンバーワンの称号

“駅での落とし物ナンバーワンはなんでしょう?” そう訊かれたら、大抵のひとは正解を出せるのではないだろうか。 答え:傘 自分において考えても、傘は、人生のうちでたぶん10本以上は、なくしている。 何本なくしたのかも憶えていない、傘ってそんな存在。 …

『Lost & Found』後遺症・・・

『Lost & Found』というタイトルの映画の脚本を書いてから、駅構内にある「Lost & Found」の文字がやたら目に入るようになってしまった。 ある日のこと、待ち合わせ場所の目の前に落とし物あずかり所があり、とても大きな看板を掲げていたので、思わずカメラ…

“落とし物”と“忘れ物”の狭間で

「落とし物」と「忘れ物」 <遺失物取扱所>を舞台とした映画の脚本を書くことになったとき、このふたつの言葉について、とてもとても迷った。 映画の中で、どちらの言葉を採用するべきか。 感覚的に、「落とし物」だろう、と思った。 でも、なぜ・・・? 書…

携帯電話を落としたら・・・?

小さい頃、物をなくしてしまったときに、よく思ったこと。 どこでなくしたのかを追跡できるように、その物自体に何らかの方法でアクセスできればいいのに・・・! しかし現在は、幼いときに思っていたこの願いを可能にする場合がある。 携帯電話を落としたと…

なくしてしまった日記

アメリカで日記をなくしたことがある。 初めての海外での生活で、どうしたってがんばらなければいけない状況を、克明に綴った日記だった。 帰国日が迫っていたある日、どこへ行くにも持っていて、空いた時間があれば書きつけていたノートを、撮影で使ってい…

初めての落とし物 / 映画『Lost & Found』公開決定

人生の中での、初めての落とし物って何だろう…と、ふと考えてみた。 それは、言い方を換えると、初めて「なくした」と自覚した経験になるのかもしれない。記憶の底へ降りていってみると、私の場合、それは「手袋」だった。 小学校低学年の頃、冬の下校途中に…